大阪旅行の連載途中ですが、
Nゲージネタでちょっと面白い出来事があったので載せます。
今回の主役は、マイクロエース製の東京メトロ06系です。
1993年に、営団地下鉄(現:東京メトロ)千代田線に1編成だけ導入された06系。
今後の千代田線のスタンダードになるかとも思われましたが、
導入はあくまで輸送力増強のためで、その後一切増備されませんでした。
そして2015年1月頃から運用を離れ、8月頃に突然新木場へ回送、解体されました。
写真左側が初期製品、右側が「改良品」と呼ばれるものです。
こちらが06系のNゲージ。実は我が家には2編成の06系がおりました。
(実車が1編成のみだったので、こんなことは現実あり得ません。)
マイクロエースは、過去に2度06系を発売しており、
写真左側の初期製品と、「改良品」として発売された写真右側の2種類です。
見比べてみると、前面の排障器(スカート)の長さが違っていたり、
動力やパンタグラフの形状、塗装などが異なっています。
実車に近いのは当然改良品なので、当初は改良品を購入するつもりでした。
しかし、06系の改良品は大変人気商品で、なかなか市場に出回らず、
出回ったとしてもかなりの高額でやりとりされるような商品です。
私も今年の4月、オークションで誰かさんと散々競り合いましたが、結局負けてしまい、
それと同時に比較的状態の良い初期製品を見つけたので、そちらを購入しました。
ところが実際手に取ってみると、どうしても改良品の方が良いと感じてしまったため、
その後しばらくして再度オークションで改良品を発見し、競り合った末に無事落札。
初期製品は手放すことにしていましたが、その前に私がNゲージを一時封印したため、
およそ5ヶ月遅れた9月下旬、改良品編成と並べてのラストランを行いました。
会場は、ポポンデッタビブレ横浜店です。
初期製品を横から見た写真。初期製品は車高が高く、
私が初期製品を手放そうと思った最大の原因でもあります。
(初期製品の前面のスカートが改良品より長いのはそのせい。)
改良品を横から見た写真。普通に見れば変わらないと思われるのでしょうが、
私の中の06系はスマートなイメージがかなり強かったので、
初期製品の旧国鉄形のような腰高な姿が受け入れられませんでした。
こちらはパンタグラフ。手前が初期製品、奥が改良品。
初期製品は、擦り板が異様に長く、これも気になっていました。
写真右側の初期製品は前面のスカートが長く、塗装もやや薄めの感じに見えます。
但し、この初期製品の塗装の方が「アルミ感」が出ていると好む人もいるようです。
他のメーカーがなかなか製品化に踏み切らないマニアックな車両を
これまでも、そして今でも積極的に製品化しているマイクロエース。
06系が発売されると聞いた時には、当時買う予定はなかったものの、
結構嬉しく思ったのを覚えています。
私には受け入れられなかった初期製品ですが、06系の特徴は十分捉えているし、
細かいことを気にしなければよくできていると思います。
少しオイルも差して状態を確認して、ラストラン終了後、
そのままお店に買い取ってもらいました。
私以外の06系ファンの元へ渡っていくことを切に願いつつ…。
ありがとう、06系初期製品。
それからおよそ1週間後の10月上旬。
別の目的でポポンデッタビブレ横浜店に行くと、
私が手放した06系が棚に並べられていました。
早く引き取られるといいね…などと思いつつ、その場を後に。
そしてお店を1周してふとレジカウンターを見ると、
中古品を試走させている人が居ました。
こういうお店では購入前に状態を見させてくれるので、
そこでライトの点灯具合や動力の調子を見るのはよくある光景ですが、
その傍らにあったのは、どこかで見たことのある緑色のケース。
なんと、私が手放した06系でした。「付属品も全部揃っているし、少しオイルも差したから調子は良いはず。
頼む!引き取ってあげてくれ!!」そんなことを念じながら、こっそりレジの様子を眺めていました。
すると、その方はレジの店員さんに声をかけ、財布を取り出しました。
06系初期製品は、晴れてその方に引き取られることになったのです。しかもその方は、ついでにレイアウトも申し込んでいる様子。
これは是非見ていきたいと思い、そのままお店に残り、
06系初期製品の「デビュー走行」を観客として見守ることにしました。
10両全てが繋げられ、いざ出発!
私がラストランとして走らせたレイアウトを、ファーストランとして駆け抜けます。
軽快に目の前を走り回る06系を見ながら、
「…よし、動力もライトも問題ないな。」などと思ってしまう私。
新しいオーナーさんは、時折列車を止めて写真を撮ってくれていました。
気に入ってもらえたようで良かったね、06系♪
その後06系はケースに収められ、新しいオーナーさんと共に店を去っていきました。
自分が手放した車両が引き取られる瞬間、さらに初走行を見られるとは、感激でした。
「今までありがとう。そして、これからもお元気で。」と、
小さくなっていくトートバッグを見つめながら思ったのでした。
(おしまい)